イワシ網漁から平生町の暮らしを知る
平生町の季節の風物詩であるイワシ網漁が始まりました。
平生町佐賀地区の海で行われているイワシ網漁は、9月中旬から12月中旬まで行われており、今が最盛期です。
この時期に、陸から海の方を見るとイワシ網漁をしている船を見つけることができます。
今回は、山口県漁協平生町支店の村上敏彦さんとイワシ網漁を行っている漁師さんたちに、どんな漁を行なっているのかお話をお聞きしました。
1、どんなイワシ網漁をしている?
全国各地で行われているイワシ漁ですが、平生町のイワシ漁は一般的なものと少し違います。
一般的には、2艘(そう)の船で行うそうですが、平生町では5艘(そう)の船で漁を行います。
一番先頭の船には網の幅を決めるという役割、2番目の船には網を引き上げる役割、最後の船が網が弛まないようにしっかりと張るという役割をそれぞれ持っています。
イワシを見つけると浅瀬に徐々に追い込んで引き上げるため、イワシを見つけてから約2時間ほど時間をかけて漁を行うんだそうです。
この方法で行うと、一般的なイワシ漁に比べて、時間はかかるもののたくさんのイワシを獲ることができます。
この日は、ちょうど浅瀬に追い込んでいる様子を撮影することができました。
イワシを目掛けて、鳥たちが集まっています。
イワシ網漁を見に集まっていた地元の人たちも、「こんなに鳥が集まっていることは滅多にない!」と驚いていました!
手前に4艘、遠くに1艘の船が見えます。
村上さん曰く、慣れてくると陸からイワシの居場所を見つけることができるんだそうです。
海を見て、鳥の飛んでいるところや、穏やかな瀬戸内海が波立っているところ、普段と少し違うきらめきで輝くところには、イワシがいるんだそうです。
ぜひ探してみてください🎵
2、イワシが獲れたら
イワシを引き上げ終わると、1艘の船がイワシを運びに先に港へ戻ります。
漁師さんたち
「たくさんはいっちょるよー。まだ生きてて鮮度がよかろうが。」
船の水槽に入っているイワシがホースで吸い上げられ、コンテナに積み込まれていきます。
イワシの銀色の体がキラキラと輝いています。
獲れたてのイワシは、水産加工会社へ運ばれていりこや田づくりになります。
船からコンテナへ詰められて、数分後には湯掻かれていりこに加工されているので、平生町で作られるいりこの鮮度の良さが伺えます。
3、地元で味わうイワシの魅力
村上さん
「鯛とかいろんな魚いるけど、一番美味しいのはイワシだと思う。この獲れたてをその日のうちに食べられるからだと思うけどね。」
以前水産加工会社さんで、いりこについてお話を聞いた際も瀬戸内で獲れるイワシは一味違うとお話しされていました。
それぞれ魚の魅力はありますが、イワシは丸ごと食べられるのでタンパク質だけでなくカルシウムも一緒に摂取でき、旨みを実感しやすいのかなと思います。実際に食べると、本当に美味しいんです!
地元では、いりこ出汁として様々な料理に使うのはもちろん、イワシの唐揚げや素干し、田づくりなどで楽しみます。
地元の方にとって、いりこで取ったお出汁は味なじみが深く、ホッとする味なんだそうです。
鰯(イワシ)は、漢字で書くと魚へんに弱いと書きます。
漢字にもなるほど、鮮度が落ちていくスピードが早いイワシを、獲れたて鮮度抜群の状態で食べられるのは地元の特権とも言えるのではないでしょうか?
平生町内で、平生の魚を買う場所がないと思われがちですが、
佐賀漁協へお問い合わせいただければ、ご準備してくださるそうです。
気になる方はお電話されてみてください!
4、平生の海と暮らす
漁が終わると、魚を仕分けます。
イワシ網漁を行うと、大きな魚も一緒に獲れるため乗組員さんで分けているそうです。
片付けが終わると、海を見ながら刺身とともに漁師の皆さんで反省会を行います。
反省会という名の、お食事会(笑)
漁師さんたち
「海見ながら、魚食べて最高の贅沢だ、ワッハッハ」
毎朝7時に漁に出て、15時頃に漁を終え、海を見ながら、獲った魚を食べながら話すことが楽しいと、漁師さんたち。
平生町のあたたかな気候と、穏やかな海が相まって、ゆっくりと時間が過ぎているようでした。
イワシ網漁の様子は、7時すぎから15時頃までの間で見ることができます。
この時期は夕焼けも綺麗に見えるので、ぜひ一度平生町のゆっくりとした時間の流れを感じにいらしてみてください。